筋肉・筋力をつけるポイント『アロスタシス(予測適応能力)』 筋肉・筋力をつけるポイント『アロスタシス(予測適応能力)』とは 儘田 琢哉 豊多摩高校ラグビー部

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グル―パーズ

筋肉・筋力をつけるポイント『アロスタシス(予測適応能力)』

豆知識

儘田 琢哉

儘田 琢哉

土日限定パーソナルトレーナー

2020-6-27

筋肉・筋力をつけるポイント『アロスタシス(予測適応能力)』 - 筋肉・筋力をつけるポイント『アロスタシス(予測適応能力)』とは

筋肉・筋力をつけるポイント『アロスタシス(予測適応能力)』とは

トレーニングをすると筋肉・筋力がつく。
それは我々の身体に備わる『アロスタシス(予測適応能力)』という能力によるものです。

アロスタシスは動的適応能と訳される文献もありますが、私はここに“予測”も加えています。
つまり、アロスタシス(予測適応能力)とは外的ストレスに対して「次もくる」と“予測”して適応する能力なのです。

これまで人類は数十万、数百万年におよび、様々な環境の変化に適応し生き残ってきました。気温の変化や、飢餓との戦い等々。
この長きに渡る進化の過程で我々人類の身体は、直面した環境の変化に対しその先を“予測”し、身体を“適応”させる能力を身に付けました。
秋に太りやすいのはその先の冬(食料が乏しい期間)を予測し適応しようと脂肪を蓄えるためです。

例えばダンベルトレーニングであれば、ダンベルを上げ下げすることによって筋肉に負荷(外的ストレス)がかかります。
そうすると身体は「またこの負荷がかかる」と予測し、「次回もこの負荷に耐えられるように筋肉・筋力をつけて適応しよう」とします。
トレーニングによって筋肉量や筋力、心肺機能が向上するのはこの能力によるものです。

また、環境に適応しようとするとき脳内に“しあわせホルモン”を分泌させ幸福感と積極性を生み出します。
環境に適応することに幸福感を得ることで絶滅の危機を“ポジティブに”乗り越えてきたのです。
運動後に爽快感や幸福感、積極性の増加が得られる理由の一つとなっています。


効率よく筋肉・筋力をつけるためのポイント「強い負荷」を生み出す

アロスタシス(予測適応能力)をつかって効率よく筋肉・筋力をつけるためには、身体に「この負荷に耐えられる力をつけて適応しよう」という“危機感”を持たせるほどの強い負荷が必要になります。
では、「ひたすら重いものでトレーニングしなければいけないの?」と思われがちですが、下記の力学の公式をご覧ください。

負荷(力)=質量 × 加速度

“強い負荷(力)”を生み出すには“質量(重さ)”だけでなく“加速度(スピード)”も関係していることがわかります。
つまり、同じ重さでも“より速く”動かすことで負荷は大きくなるということです。

ひたすら重ければよいのではなく “速く動かす”ことも強い負荷を生み出すポイントということです。

私のトレーニングでは、ダンベルやバーベルをあげる(重力に反発する)ときに速くすることを推奨しています。
トレーニング初期の段階は「とにかく速くあげる」からスタートします。
そして、ダンベルやバーベルのコントロールができるようになってからは「徐々に(加速度的に)速くあげる」にステップアップします。
可動域のスタート時に速くすると、慣性の法則で後半の負荷が減少してしまいます。負荷をかけ続けるには「徐々に(加速度的に)速くあげる」がポイントになります。


ウェイトトレーニングは短時間(1時間以内)でよい

ウェイトトレーニングは「やればやっただけ」効果があるのでしょうか?

アロスタシス(予測適応能力)は長時間のトレーニングに対してどのような反応をするかというと、アロスタシス(予測適応能力)は長時間のトレーニングに対して「これからもこの負荷が“長時間”におよぶ」と予測し、「長時間の負荷で餓死しないために低燃費の身体になろう」と思い「エネルギー消費の大きい“筋肉”を減らそう」とします。
「やればやっただけ」効果があると思い長時間のウェイトトレーニングを続けている方が、比較的早い段階で伸び悩む理由がここにあります。

また、ウェイトトレーニングには“集中力”が必要になりますが、1時間以上経過すると集中力が切れやすくなります。
よって、集中力を維持できる1時間以内にトレーニング時間をおさめることが効率的となるのです。


筋肉・筋力をつけるポイント『アロスタシス(予測適応能力)』 - トレーニング頻度は週に1回でOK

トレーニング頻度は週に1回でOK

強い負荷のトレーニングをすることで筋肉は小さな断絶をおこし、老廃物が蓄積されて疲労・損傷します。
その筋肉が回復するのに2~3日。これは筋肉の断絶が修復され、枯渇したエネルギーが充填される期間です。

ここで見落とされがちなのが骨と骨をつなぐ靭帯や筋肉と骨をつなぐ腱の回復です。
靭帯や腱の回復には5~6日を必要とします。(図1参照)
靭帯や腱の回復を考慮せずにトレーニングをすると関節の故障につながります。

靭帯や腱の回復5~6日を考慮するとトレーニング頻度は週に1回となります。
その間に身体は次の負荷を予測し適応します。
弱い負荷であれば頻度を上げても回復は間に合いますが、必ず回復の期間は必要になります。

毎日トレーニングするのであれば、部位を分けることをおすすめします。
下記はその一例です。

例えば、弱い負荷のトレーニングや自重トレーニングの場合…
月曜日:上半身
火曜日:下半身
水曜日:お腹
木曜日:上半身
金曜日:下半身
土曜日:お腹
日曜日:休み

高負荷トレーニングの場合…
月曜日:胸
火曜日:脚
水曜日:背中
木曜日:肩
金曜日:腕
土曜日:お腹
日曜日:休み


最後に

努力を重要視する日本人は、どうしても「やればやっただけ効果がでる」「効果がでないのはトレーニングが足りないから」と思いがちです。しかし、休むこともトレーニングの一部と理解してください。

また、アロスタシス(予測適応能力)により筋肉・筋力をつけるポイントは身体の気持ちになること。
身体に「筋肉・筋力をつけたい」と思わせるには…身体の気持ちになって考えてみましょう。

※ウェイトトレーニングは身体に強い負荷をかける行為であり、血管系のトラブルを招く場合があります。筋トレを始める前に“血圧”を計ることをおすすめしております。血圧の上が140、下が90を上回る場合は危険なのでトレーニングは控えましょう。

参考文献:『GO WILD 野生の体を取り戻せ!』(ジョンJ.レイティ (著), リチャード・マニング (著), 野中 香方子 (翻訳)/NHK出版)

筋肉・筋力をつけるポイント ポイント 筋肉・筋力

儘田 琢哉

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